死ぬ日まで空を仰ぎ
一点のやましさもなく
木の葉にそよぐ風にも
こころを痛めた
星をうたう心で
生あるものすべてを慈しみ
そして与えられた道を
歩いていこう
今宵も星が風に息づいている
*YMCA訳
(尹東柱 空と風と星と詩から)
街角や家庭でクリスマスツリーが眩しく輝く季節だ。ツリーの一番上にある星、トップスターは、輝いているだろうか。この星は、イエスの生誕を知らせ3人の博士や羊飼いたちを導いた星を表している。地球誕生から輝き煌めいている星をイエスも、歴史上の人物も、私たちも見ている。
イエスの生誕を知らせ導いた星を見上げ、最も弱くされている人々に寄り添い励まし、隣人のために命を捧げたイエスの生涯を思う詩だ。
作詞者の尹さんは、韓国では誰でも知っている詩人で、戦前に立教大学、同志社大学で学んだキリスト者である。1943年に、日本の植民地からの独立運動により治安維持法違反で逮捕され2年後の終戦直前に獄中で亡くなった。
もう一つ星の話。ナチスドイツに占領されたデンマークでユダヤ人を迫害、虐殺を迫るドイツ軍に対して、国王自身が、ユダヤ人がつけさせられていたダビデの星のマークをつけ、馬に乗り街を行進した。それを見た国民は、奮い立ち同じ星のマークをつけて連帯し、デンマークでのユダヤ人差別、虐殺を防いだ話だ。
「星をうたう心で生あるものすべてを慈しみ、そして、与えられた道を歩いていこう」という尹さんの思いと国王の生き方が重なる。家族や友人と平和なクリスマスを迎えたい。そして静かに星を見上げ、風に息づく思いに触れ、与えられた道を歩んでいこう。
(横浜YMCA総主事 田口努)