写真に写っていた小学校にあった
止まった時計。
ぼくにも時計がある。
それは、僕の体の中の時計。
そのぼくの時計が
あの日、止まった。
(中略)
今までふつうだったことが、
ふつうでなくなった。
ふつうの生活が、
学校の勉強が、
今までよりも何よりもうれしくなった。
今そういえば、僕の時計は、
また動き出している。
今までとはちがう時間を刻みながら。
(中略)
ふつうだったことがふつうじゃなく、
うれしく感じる時間を。
ところで今、ぼくは思う。
このぼくの時計、
だれがまた動かしてくれたのだろうと。
きっと、たくさんの人。
だからぼくは言う。
みなさん、ありがとう。
ぼくの止まってしまった時計を動かしてくれて、
ほんとにありがとう。 (杉の入小5年大宮圭悟)
被災地にある新聞社として、被災地に寄り添う報道を続けている河北新報社が震災8カ月後から復興支援企画「ありがとうの詩」として紙面で連載してきた詩のひとつだ。
460の応募作品の中から50詩が選ばれインターネットでも読むことができる。どの作品も心に響き心打たれる。「ありがとう」の思いは、支援者に、家族に、亡くされた命に、虹のように多彩な「ありがとう」が表現されている。ぜひ読んでほしい。
東日本大震災から3年経とうとしている今、改めて、あの時から変えられた自分の時間がそれぞれにあるはずだ。
震災をわすれない、そして祈り、今自分ができることを考え、共に歩んでいこう。
総主事 田口 努
写真は保育園園児たちが披露した仙台のすずめ踊り