2014年3月8日土曜日

総主事コラム「こもれび」2014年3月

「あの時から」

写真に写っていた小学校にあった
止まった時計。
ぼくにも時計がある。
それは、僕の体の中の時計。
そのぼくの時計が
あの日、止まった。
(中略)
今までふつうだったことが、
ふつうでなくなった。
ふつうの生活が、
学校の勉強が、
今までよりも何よりもうれしくなった。
今そういえば、僕の時計は、
また動き出している。
今までとはちがう時間を刻みながら。
(中略)
ふつうだったことがふつうじゃなく、
うれしく感じる時間を。
ところで今、ぼくは思う。
このぼくの時計、
だれがまた動かしてくれたのだろうと。
きっと、たくさんの人。
だからぼくは言う。
みなさん、ありがとう。
ぼくの止まってしまった時計を動かしてくれて、
ほんとにありがとう。    (杉の入小5年大宮圭悟)

 被災地にある新聞社として、被災地に寄り添う報道を続けている河北新報社が震災8カ月後から復興支援企画「ありがとうの詩」として紙面で連載してきた詩のひとつだ。
 460の応募作品の中から50詩が選ばれインターネットでも読むことができる。どの作品も心に響き心打たれる。「ありがとう」の思いは、支援者に、家族に、亡くされた命に、虹のように多彩な「ありがとう」が表現されている。ぜひ読んでほしい。
 東日本大震災から3年経とうとしている今、改めて、あの時から変えられた自分の時間がそれぞれにあるはずだ。
 震災をわすれない、そして祈り、今自分ができることを考え、共に歩んでいこう。
総主事 田口 努

写真は保育園園児たちが披露した仙台のすずめ踊り