「空を見上げてみよう」
見上げてごらん 夜の星を
小さな星の 小さな光りが
ささやかな幸せをうたってる
見上げてごらん 夜の星を
僕らのように 名もない星が
ささやかな幸せを祈ってる
(作詞 永六輔)
被災地でリクエストの多い曲に故坂本九さんが歌った名曲「見上げてごらん夜の星を」「上を向いて歩こう」や他者のために生きる詩の「アンパンマンマーチ」が多かった。見上げる、上を向く、空に飛んでいくという空や星という共通点がある。被災地とつながりを創ろうと、1年目の祈念に全国、世界で「希望の凧揚げ」が行われた。子どもと久しぶりに空を長い間見つめていると、見えない風を掴み、見えない力で空へ舞い上がる不思議を感じた。高く上がると、一本の糸が空につながり、被災地や世界に、そして空に昇っていった多くの命と繋がっている気がした、と言う声があった。
クリスマスの3人の賢者は、星に導かれるなど、古来、旅人は星を見て自分の位置を確認し、行くべき道を辿った。空を見上げ、雲や風を見て天気を予測した。夜も昼も空を見上げ、自分の今の位置を確かめ、未来への道標を捜した。そして自分の命の生まれる前から存在している永遠を感じる宇宙や星達から、一瞬の時を地球上で共有した命とのつながりを感じたのだろう。
星や空を見上げたり、日の出、朝日、夕焼けを家族や仲間と見る時は、今と未来を見つめる思いを重ねる時かもしれない。この五月は、金環日食が見られる時だ。家族全員で見る貴重なチャンスだ。昨年は日本中で大きな喪失感を共有する体験をしたが、今度は日本中のみんなで空を見上げよう、子どもたちや仲間と未来を共有する時にしよう。
(横浜YMCA総主事 田口 努)
*写真は港北区で行われた「希望の凧揚げ」