2012年2月7日火曜日

総主事コラム「こもれび」2012年2月


「白い紙」


一日は白い紙
消えないインクで文字を書く
あせない絵の具で
色をぬる
太く、細く
時にはふるえながら
一日に一枚
神様がめくる白い紙に
今日という日を綴る


(星野富弘『鈴の鳴る道』から)


 氷や霜柱を踏みつけて喜ぶ子ども達の姿を見る季節だ。年末年始に行われた富士山YMCAファミリーキャンプに福島から80名の家族が来られた。幼い子が、氷を両手に掴み、顔の前に出し満面の笑顔を見せてくれた。それを見た子ども達が次々と冷たい風も気にせず氷を掴み,割ったり、投げたり、氷遊びに夢中になった。何気ない子ども達の自然の姿に「震災以来、こんなに子どもらしく、家族で何も気にせず遊べたのは、はじめて」という声があった。
 放射線を気にして、土、虫、木々、氷と子ども達の成長に欠かせない自然遊びができず、室内遊びが中心で、毎日が梅雨時の家庭のよう、わずかに除染した庭で限られた外遊びだそうだ。昨年の八月から毎月、福島の子ども達が富士山を訪れ300名を超えた。いつも、そこにあるあたりまえの自然に、限られた短い時間を愛おしんで遊んでいる。
 この詩を書いた元体育教師の星野富弘さんは、事故で全身麻痺となり、生きる希望を失ったとき、口に筆をくわえ花の詩画を描くようになった。今日も新しい朝に感謝し、一日に一枚を大切に描いている。
 福島の人々も、除染の庭を拡げ、屋内遊びを工夫し、限られた可能性に力を注いでいる。あたりまえにあるはずの自然の姿を取り戻すために。
私たちも支え続け、キャンプを継続する。子ども達の未来を創る白い紙がたくさんめくれるように。 
(横浜YMCA総主事 田口 努)