「支え合う心」
地震にも 負けない
強い心をもって
亡くなった方々のぶんも
毎日を 大切に生きてゆこう
傷ついた「ふるさと」を
もとの姿にもどそう
支えあう心と明日への
希望を胸に
響きわたれ ぼくたちの歌
生まれ変わる
「ふるさと」のまちに
届けたい わたしたちの歌
しあわせ 運べるように
(作詞・作曲 臼井 真)
17年前の1月17日明け方、阪神淡路大震災が発生し、6千人を超える人々が一瞬にして亡くなった。それから1カ月を過ぎた2月27日、避難所となっている神戸市立吾妻小学校の校庭で、音楽教師の臼井真先生が弾く電子ピアノを囲む小学生たちが唄った歌が「しあわせ 運べるように」だ。生まれ育った神戸の街が瓦礫の街となり、先生の自宅も全壊、多くの友人を失った喪失感の中、自分できることは、音楽で人を励ますことと考え、湧き出る思いを紙に書き、わずか十分で出来た詩だそうだ。
神戸で歌い継がれ、今、東日本大震災の被災者を励まそうと、歌詞の中の「神戸」を「ふるさと」や「日本」に替えて各地で歌われている。年末に、ゴズペルシンガー森祐理さんのコンサートで、この歌を聴いた。森さんも、神戸で、大学生の弟を亡くした。その弟の思いを胸に、東日本大震災の被災地の避難所を、自分が出来ることは音楽で励ますことと、30回以上被災地を訪ね歌っている。森さんの歌を聴いて、被災された方は「地震でも、津波でも泣かなかったのに、あんたの詩で泣いた」と語り、その涙で心が癒されたという。
この詩のように、支えあう心と明日への希望を胸に、毎日を大切に生きていく年としたい。
(横浜YMCA総主事 田口 努)