2011年11月19日土曜日

総主事コラム「こもれび」2011年11月


「地球の喜びに」


地球ほど
人間の極悪さを
知っているものはあるまい
時には創られた神さえ
憎んだこともあろう
とにかく地球の悲しみを
もっと知らねばならぬ
もっと聞かねばならぬ
(地球の悲しみ 坂村真民)

 映画「フラガール」ゆかりの福島県浜通り地方を訪ねた。かつて常磐炭坑で栄えたが、石炭を掘り尽くし炭坑が廃れ、街が荒廃していく。その復興の切り札として考えられたのが、炭坑を掘る時には邪魔で捨てられていた温泉だった。その湧き出る温泉で常夏のハワイアンセンターができた。フラガールが全国巡業し、東北の地に巨大温浴施設ができたことを知らせ人気を博した。それから45年後、再び巡業することになった。今度は、地震と原発の風評被害からの復活を目指してだった。
 横浜YMCAでは8月から、この福島県浜通りの保育園や幼稚園の子どもたちを富士山YMCAに招いている。すでに3園、来年3月まで6園が訪れる。被爆を恐れ、1日30分だけの外遊び、なかには、全く外に出ず、プールにも入れない園もあった。土や虫にも触われない。その子どもたちが富士山YMCAの大草原で弾けるように走り、虫を追いかけ。日が落ちるまで外気をすい、夜もキャンプファイアを楽しみ、降るような星のもと遊び疲れてぐっすりと眠った。福島では子どもはもちろん、保護者も緊張を強いられて生活している。その緊張からの一瞬の開放だが、このリフレッシュは、子どもに元気のエネルギーを補給してくれたとある先生が言った。
 大地、太陽、風、星、そして温泉と、地球はこんなにも恵みを与えてくれる。地球の悲しみから、地球の喜びに変えていきたい。
(横浜YMCA総主事 田口 努)