2011年9月26日月曜日

総主事コラム「こもれび」2011年9月


「復興の力」


全てのこのことは一瞬の
夢としか思われません。
今更ながら大自然の前に
人間の力弱さに屈服する
のみ今は、ただ天災の中
にあって幸いにして生ある
ことをせめての幸と思い
ただただ、天に感謝する
のみそして、一切に於い
て新しく自己を強健にする
ために出来るだけ努力と
奮闘を続けていきたいと
思います。
(関東大震災女学生の記録)
 9月1日は、関東大震災から88年目を迎える。9月11日は、東日本大震災から6カ月を迎える。そして21世紀冒頭の歴史を変えた同時多発テロから10年目でもある。いずれの災いも家屋、財産、そして多くの人命を失った喪失感からの希望を生み出すのには時間が必要だ。
 関東大震災の女学生の記録を読んだ。フェリス女学院の当時17才の女学生151名の一人ひとり震災時の体験が綴られている。家族と離ればなれになり、探し求めて再開できた喜び。つぶれた家から助け出された体験、火災から傷を負った友人と逃げる中、見ず知らずの人から水や食料を分けてもらい人のやさしさに感謝するなど、各々の記録が今の震災に通じる極限の時の人の支え合う力を感じる。
 震災時に助け合ったあの時を、「今も懐かしく思う。互いの間に差別やエゴイズムもなく「人類愛」「無我」相互の親密さが私の印象を深らしめた」。復興の精神に繋げたいという記録もあった。当時の横浜YMCAも支援活動をすぐに開始し、救護所、水や物資、薬品の提供。安否確認のための郵便扱い。児童慰安として小学校で運動会やキャンプへの招待、映画会を開催し、喜ばれ、なんと横浜公園の映画会には一晩一万人が集まった。今も昔も、子どもの元気は希望を生み、復興の力となる。

     (横浜YMCA総主事 田口 努)
*写真は関東大震災の際の横浜YMCAの救援活動