2011年8月19日金曜日

総主事コラム「こもれび」2011年8月


「平和求める力」

みんな笑っている
幸せそうに笑っている
愛する家族がいたはずだ
たくさんの夢があったはずだ
大人になるその日を夢みて
いたはずだ
その笑顔を 幸せを
奪った戦争を 私は許さない
絶対に許せない(中略)
祖母の家に眠る一枚の写真
それにこめられた祖母の思い
もう何年も経つけれど(中略)
私はずっと忘れない
私たちが忘れない限り
平和は続くだろう
だからこそ忘れてはいけない
この地にはたくさんの笑顔が                 
たくさんの夢が
眠っていることを

(沖縄仲西中学校二年 嘉味田朝香)

 今年の沖縄全戦没者追悼式で朗読された平和の詩「幸せの一枚」の一部である。家族から戦争の話を聞いてくるという小学校の宿題で祖母を訪ねた時の一枚の写真。満面の笑顔の子ども達、はにかむ笑顔とどの子も未来を見つめキラキラ輝いている写真だった。
祖母に「この子は誰と聞くと愛おしそうに、悲しげに「おばあちゃんの生徒達」と応えた。「今は、どうしているの」と聞くと無言で時が止まった。祖母の深い悲しみ、深い苦しみが痛いほど伝わる長い沈黙の後、祖母は「どうして戦争なんかするのかねー戦争さえなかったら、みんな幸せだったのに」と言った。一枚の未来への希望あふれる笑顔の写真と祖母の深い悲しみの言葉がこの詩となった
 東日本大震災でも多くの命が奪われ自然災害の猛威を知ったが、戦争という人が起こす人災の恐ろしさは、人間の知恵によって防ぐことはできないのだろうか。戦争、原爆、原発、どれも人が生み出したものだ。今こそ、その暴走を止める力、忘れない力、真実を求める力を大切にしたい。              
(横浜YMCA総主事 田口 努)