2011年3月2日水曜日

総主事コラム「こもれび」2011年3月

「自分を変える」

殻を脱ぐ
それはカニもやる とんぼやせみもやる
人間もこれをやらねばならぬ
木は年輪を持つ 竹は節を持つ
人間もこれを持たねばならぬ
生まれたままでは
万物の霊長とは言われぬ
殻を脱ごう
年輪や節を持とう
新しい自分をつくるために
新しい世界を開くために
(「殻」 坂村真民)

年輪は、どうやって出来るのだろう。年輪の中心と外側とでは、どちらが新しいのだろう。四季がはっきりしている日本の年輪は、わかりやすいらしい。木は冬に成長を止めて、春から夏にかけて細胞壁が薄く、細胞の中が広い繊維細胞を外へ外へと急激につくり成長していくのだそうだ。年輪は春から夏は、柔らかく薄く見えるが、夏から秋に向けては細胞壁が厚く、細胞の中が狭い繊維細胞をつくり成長していき、堅く、色が濃く見える。この夏から秋に色が濃く見える年輪が一年に一つ輪を描いたように見え、年輪となるのだそうだ。外側から成長していく証拠は、枝打ちした枝や折れた枝の断面を見ると、新しい細胞が外へ外へと成長をしていくときに、覆われてしまっていることがわかる。昨年の夏は、記録的な夏だった。そして冬も厳しかった。年輪はどのように成長しているのだろう。春を迎え大きく成長する時期を迎える。卒業、進学、進級、退職、就職、異動、転勤と3月、4月は人間にとっても節目の時だ。この春の過ごし方で、大きく成長する機会でもある。外へ外へと、新しい出会いの中で、心の成長が豊かにありますように。
(横浜YMCA総主事 田口 努)