2010年3月2日火曜日

総主事コラム「こもれび」2010年3月


「志をつなぐ」

わたしたちは
見えるものではなく、
見えないものに目を注ぎます。
見えるものは、過ぎ去りますが、
見えないものは
永遠に存続するからです。
(コリントⅡ 4章18節)

横浜YMCAの2009年度の基本聖句だ。創立125周年の記念すべき年に、歴史を振り返り、未来へ繋いでいくものは何かを考えようと選ばれた聖句である。1884年、明治維新の急激な変化の中で、様々な社会の課題を感じ取った横浜海岸教会の5人の青年たちの祈りの輪から横浜YMCAは生まれた。資金も会館もなく、志をもった青年たちの人々への思い、社会への願い、祈りでスタートした。それは、まさしく、「わたしたちは、見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます」という歩みである。
創立39年の1923年には、関東大震災でその7年前に新築したばかりの会館を焼失したが、祈りをもって復興ボランティア活動から再開。その22年後の創立61年1945年には、横浜大空襲の被害を受け、終戦後占領軍(GHQ)により会館を接収され七年後に返還。その間、戦後の焼け跡で、地域の施設を借りて敗戦後の混乱期の青年に希望を生み出す青少年活動から再開。歴史を顧みると、困難にある人々のために祈り続け、見えないものの導きを信じ、見えないものに目を注いで歩んできたことがわかる。その「こころをむすび、おもいをつないで」いきたい。
126年目の2010年度の基本聖句は、「最も小さい一人にしたことは、私にしてくれたことなのである」(マタイ25章4節)だ。創立時から受け継ぐ、イエス・キリストが示された、小さくされている人のために働く、またその働き人を育てるよう歩みたい。
(横浜YMCA総主事 田口 努)