「今から70年前。日本は世界を相手に戦争をしました。戦争というのは国と国とがするとっくみあいのケンカみたいなものです。戦うために、みんながたくさんのことを我慢しました。食べることも我慢したことの一つです。
みなさんは、いつもご飯を食べますね。白いご飯が大好きですよね。でも、戦争中はお米が手に入らなくなりました。お米を作る人も、作る道具も、そして作る時間も、全部戦争に取られてしまったからです。そんなお米の代わりに食べたのが、このすいとんです。時には、このすいとんを作るための小麦粉でさえも手に入らなくなりました。
今日のホサナのすいとんは、野菜がいっぱいです。ニンジン、白菜、タマネギが入って、しっかりだしのきいたみそ味です。戦争中に食べたすいとんには、こんなに野菜が入りませんでした。お米と一緒で野菜も手に入らなかったからです。それでも、野菜を食べなくてはということから、サツマイモのツルや葉っぱを入れたこともあったそうです。同じくお味噌も手に入りません。塩味がついただけでも、まだ良かった方だと言います。
私は戦争があったときのことを知りません。戦争のとき、私のお父さんは17歳、お母さんは16歳でした。二人とももう死んでしまって、直接戦争の時のお話をもう聞くことはできません。でも、こうしてみんなといっしょにすいとんを食べて戦争の時のことを想像してみると、戦争の時の、不幸せな気持ちが少し感じられますね。
二度とそんな気持ちを味あわないように、今日のような、美味しいすいとんがずっと食べられるように、していかなくてはいけません。」
おやつを通して、子ども達と一緒に、「平和」について考える時間を持つことができました。
(YMCAあつぎ保育園ホサナ 野澤ひらく)



