「心の花」
花がきれいですねぇ
誰かがそういって
うしろを過ぎて行った
気がつくと目の前に
花が咲いていた
私は何を見ていたのだろう
この華やかな
春の前で
いったい何を
考えていたのだろう
(詩 星野 富弘)
今年の桜は、史上最速とも言われる速さで、北上を続けている。東北、北海道地方は、例年にない大雪の冬を越えて、一機に春を迎ようとしている。雪の中から、小さいな、小さなふきのとうの花が咲き、雪解け水が春の日差しを受けて輝く姿を見ると春の訪れを感じてとても嬉しい。今年の春は、急ぎ足で過ぎ去りそうだが、ゆっくりと春の訪れを感じる時を大切にしたい。
新学期を迎え、子どもたちや学生、そして迎える教師や大人達。慌ただしくも、嬉しさと小さな不安と大きな期待で胸を膨らませて迎える春でもある。その花の蕾のような子ども達や学生達の心の声を聞き分けて歩みたい。新年度の忙しさ、初めての出会いと緊張感の中で、一人ひとりの子どもたちが、神様からいただいた心の花を咲かせることが出来るよう祈りたい。一人ひとりの心の花に気づかず通り過ぎないよう祈りたい。
発達障がい児の支援を担当していた時、三日月が綺麗だなぁと思うように人を見よと言われたことがある。あんなに欠けている部分が多いが、小さく輝いている部分だけを見て喜ぶように、欠けている部分に注目するのでは無く、小さくても三日月のように輝く良い部分を見つけて、褒めて、そこを伸ばすのが大切と言われた。欠けている部分に捕らわれがちだが、「花がきれいですね」と呼びかける声に気づき目の前の花を愛でたい。
(横浜YMCA総主事 田口 努)
*写真は2012年度ファミリーサッカーフェスティバル写真から