「手をつないで」
いきいき生きる
いきいき生きる
ひとりで立って
まっすぐ生きる
困ったときは 目をあげて
星を目あてにまっすぐ生きる
息あるうちはいきいき生きる
はっきり話す はっきり話す
びくびくせずにはっきり話す
困ったときは あわてずに
人間について よく考える
考えたなら はっきり話す
しっかりつかむ しっかりつかむ
まことの知恵しっかりつかむ
困ったときは 手を出して
ともだちの手を
しっかりつかむ
手と手をつないで
しっかり生きる (詩 井上ひさし)
東日本大震災が発生し、家族や知人を失い、家を失った被災者が避難所となっている小学校の体育館で数日過ごした。その被災者の目にこの詩がとまり、涙が止まらなかった。この詩は私達の今の気持ちそのものだと思い、校長先生に伝えた。翌日から、毎朝、避難所でのラジオ体操と共に、この詩の曲「釜石小学校校歌」が流れ、被災者を励ました。
震災当日、釜石小学校の児童は午前中に下校していたが、子ども達は、この詩を地で行くような行動で全員が助かった。津波と聞いても、逃げようとしない高齢者達に困った。何度もはっきりと、大声で伝えた。それでも動かないお年寄りに、みんなで手をつないで逃げた。困った時にどう生きるかが描かれている。人は一人では生きていけない。困ったとき「手を出して、しっかりつかむ。手と手をつないで、しっかり生きる」人と人のつながりが生きる力となる。
この3月、横浜YMCAでは、震災を忘れない思いをつなごうと様々な活動が行われる。震災を風化させず、手と手をつないで、しっかり生きるため、あなたに出来ることを続けることを共に考えよう。
(横浜YMCA総主事 田口 努)