8月から準備してきた「3月11日を生きて」の厚木文化会館での上映会が無事に終了しました。
150名を超える厚木市民の方々にお集まりいただき、それぞれに被災地を思う気持ちを新たにされたことと思います。今年8月に宮城県山元町を訪問した時、津波で車が流され、ヘドロや砂で覆われ、瓦礫だらけになってしまった広大な田んぼには、今では青々と草が生えていて、まるで稲が植えてあるかのようでした。なかなか減らない瓦礫の山でさえすでに草木が生え、瓦礫の山全体を覆っていました。もしかしたら初めて訪れた人たちには、どこが被災地なのかすら分からなくなっているかも知れないと感じました。そんな時、この映画に出会いました。監督である青池憲司さんは、次のように話しています。『2011年6月下旬から撮影している門脇小学校の児童、教師、保護者のみなさんの、37人ものインタヴューを通して、“人は3月11日をどのように生きたか”をテーマにした映画を製作しました。タイトルは、『3月11日を生きて〜石巻・門脇小・人びと・ことば〜』上映時間1時間37分。東日本大震災を記憶する証言集の学校篇です。この震災で石巻市の小学校は、被災14校、死亡・行方不明の児童186人という大きな被害を受けました。かつて体験したことのない大地の揺れと迫りくる大津波。そのとき、学校現場は危機をどのように把握し、判断し、行動したのか。こどもたちは? 教師は? 保護者家族は?石巻市立門脇小学校の、3月11日のそのときから12日朝までのうごきを、インタヴューで追跡します。』この映画は、全編を通して、大津波に呑み込まれる街の映像や建物が破壊される映像ではなく、インタヴューによる37人の語りが続いていきます。被災した一人ひとりが自分の目で見たことを自分の言葉で語っています。被災地がどんなに変わろうともこれからも語り継がれることだと思います。
(厚木YMCA 館長 小林一郎)