2011年10月11日火曜日

総主事コラム「こもれび」2011年10月


「砂と星の如く」


歩きはじめたばかりの坊やは
歩くことで しあわせ
歌を覚えたての子どもは
うたうことでしあわせ 
ミシンを習いたての娘は
ミシンを回すだけでしあわせ
そんな身近なしあわせを
忘れがちなおとなたち
でも こころの傷を
なおしてくれるのは
これら小さな
小さなしあわせ   
(しあわせ 高田 敏子)
被災された陸前高田の兄妹デュオの方と話す機会があった。二十代の妹が、東日本大震災で変わったことは何との会話の中で、少し迷いながら、「あたりまえの普通のしあわせかなぁ」と言った。家族といること、住む家があり、水、電気、ガスのあってあたりまえのものがあるしあわせ。そして仲間、毎日、当たり前に歌っていたうたを、数カ月ぶりに兄と歌った時、涙があふれた。日常の普通こそが、しあわせ、全てが恵みと気づいた。支えてくれる人、そして毎日、新しい朝に感謝の気持ちが沸くと言っていた。
鎌倉YMCA60周年史『砂と星のごとくに』(写真)をいただいた。「旧約聖書の祝福の言葉に重ね、砂も星も小さいが寄り集まると大きい。鎌倉YMCAの小さい会館に集まる人も小さい人かもしれないが、気がつくと大きな祝福を得て、豊かな歴史を刻んでいる」と荒井仁牧師は書かれていた。記念誌にはYMCAで卓球や社交ダンス、英語等を習ったり、キャンプやリーダーの各々の思い出が綴られていた。
何かができた喜び、仲間との出会いと喜び、そして恵みに気づく。その恵みを分かち合う他者のための活動が世界に拡がり、喜びにつながるまさしく砂と星のような祝福を感じた。普通のしあわせ、恵みに気づき、分かち合うYMCAでありたい。
(横浜YMCA総主事 田口 努)