2011年7月9日土曜日

総主事コラム「こもれび」2011年7月

「言葉の種」

嬉しいなという度に
私の言葉は花になる
だから
あったらいいなの種をまこう

小さな小さな種だって
君と一緒に育てれば
大きな大きな花になる

楽しいなという度に
私の言葉は花になる 
だから
だったらいいなの種をまこう
小さな小さな種だって
君と一緒に育てれば
やさしい香りの花になる

花をつなげたかんむりを
あなたにそっとのせましょう
今は泣いてるあなたでも
笑顔の花になるように

(「花の冠」 詩・大越 桂)

横浜公園で東北の物産を購入して支援をしようとする「東北復興まつり」が行われた。被災地、宮城県から合唱団が招かれ、人々を励ます歌の力を発揮した。団員の一人に、仙台YMCAの専門学校生もボランティアで参加していて、同じYMCAの仲間として嬉しかった。これはその時に歌われた曲の詩だ。詩を書いた大越桂さんは重い障がいを持ち、寝たきりで、声も出すことが出来ず筆談で詩を書いている。自らも被災し、停電でいつも使っている吸引器も止まったが、懸命な家族の支えで助かった。そんな小さな自分だってこの詩と言う小さな言葉の種で人を励ましたい思いが伝わる詩だ。筆談で詩という表現が出来たときの言葉は、「これで石でなくなる。本当に人間になれる」「人は人に会って人になる」だ。多くを失った震災だが、復興を支えるのも人だ。人は人によって育つ。もうすぐ夏休み、この時代を生きる子どもたちが、人によって育つ場として、自然の中で人と仲間と出会うキャンプや体験活動を通して人を励ます生きる力の種を育てたい。
(横浜YMCA総主事 田口 努)