月末になって急に秋風が吹き出しました。ツクツクボウシが「過ぎ行く夏がツクヅク惜しい」と鳴き始めたばかりだったのに、秋は何をそんなに急いでいるのでしょうね。
横浜YMCAの保育園では8月を平和月間として子ども達と一緒に平和について考える時間を設けました。この期間は平和を祈り感謝する礼拝をしたり、平和にちなんだ絵本を読んだり、当時(空襲)のお話をたりと各園で取り組みは様々ですが、『平和』ってなんだろう?と考えたり、『平和な世界をつくり出す』ために何をしたら良いのだろうと話したりしました。
ちよリーダー(保育士)が子ども達に「平和ってすてきだね」という絵本を読んでくれた日のこと。お家に帰ってから「(終戦記念日って)ミサイルが飛んで来るの?」と聞いたお子さんがいたそうです。お父さんお母さんはさぞかし驚かれたことと思いますが、家族と平和についてお話できた時間は、その子にとって、とても良い機会となったことでしょう。
子どもに戦争話をすることをタブー視する見解(子どもに不必要な不安を与える・話すことでかえって戦争や武器に興味を持たせてしまうという考え方)もあるようですが、TVをつければ「内戦だ」「紛争だ」とニュースの嵐。いつの間にか子ども達が目にしたり耳にしたりし、あたかも戦いごっこやDSゲームの延長線上のように「今、〇〇って国が戦ってるんだってさ」と話している姿を見ると、いつまでも隠しておくことが出来ない世の中になったと感じます。
絵本を読み終わると「戦争って、国と国とがケンカすることなんだよね」「日本が平和でよかった」と子どもなりに考え、絵本に出てきた子どもの姿を真似て、胸に手を当てる様子が見られたそうです。
『世界平和』と考えると私たちの小さな手では届かない、正に文字通りの「対岸の火事」に思えてしまいそうですが、聖書にも「隣人を自分のことのように愛しなさい」という有名な言葉があるように、隣に困っている人がいたら、その人のことを思って自分のことのように心配したり、祈ったり、一緒に解決策を考えたり、手を握ったり、助けたりできるような人になりたいと思います。
有名な話ですが、彼マザーテレサさんは「世界平和のために、私達に出来ることはなんですか?」と質問した記者に『世界平和のために何ができるかですって? 家に帰ってあなたの家族を愛しなさい』と答えたそうです。世界平和は遠い国を眺めて善意を語るものではなく、世界中の1人ひとりが自分の手の届く平和(幸せ/安心/平穏)を大切に思い、大切に守ることで平和の輪(愛)が世界に染み渡り、争いがなくなる。そういうことなのでしょうね。
子どもたちが友だちとの関わりの中で「困っている仲間のために、今、自分が出来ることは何だろう?」と考える瞬間を私たちは大事に見守っています。ご家族の皆さんもこの機会に「平和って何だろう?」「家族に自分の手(愛)が届いているかな?」「平和のために何が出来るのだろう」と振り返ってみてください。もしかしたら、隣に困って倒れている人がいるかもしれません。その時、私達には何ができるのでしょうか。
横浜YMCA保育園(13園)は、光州・上海・台北のYMCAの子ども達と一緒に「こども絵画展」をみなとみらいギャラリーで開催しました。(ぶどう日記36もご覧ください)
子ども達が平和を祈りながら愛の手をつなぐ姿が平和の輪となって世界に広がりますように。
(金沢八景YMCA保育園 迫 弓子)