2013年6月15日土曜日

総主事コラム「こもれび」2013年6月

「子どもの権利」

(子どもの生まれながらの権利) ヘンリー・ターナー・ベイリー

 すべての子は、泥んこになって遊び、小川の水をはねかえし小鳥のうたう、神を讃える歌を聞く喜びを知らなければならない。
 夜明けや日没のひととき、えもいわれぬ輝きにいろどられる大空、すてきな宝石のきらめく、朝露の下りた朝の景色、星が息づき、またたく、広い夜の空を眺めなければならない。
 子どもは、花や蝶など寓話の世界をつくり出した野生の生きものと、一緒に生活しなければならない。
 子どもは、はだしで歩き、雨に打たれ白樺の木にまたがり、松の枝を滑りおり、山や高い木によじ登り、すき透った水の中に頭から飛び込むスリルを味わなければならない。
 湿った大地、刈り取ったばかりの草、甘いシダ、ハッカ、モミの木、家畜の吐息、海から入り江に吹き込む霧のにおいを知らなければならない。
そして、木々が雨や風に答える言葉、さざ波や滝の音、嵐の海のたけり狂う声を聞かなければならない。
 子どもは、魚をとり、干草の山にのり、野営し、たき火で料理をし見知らぬ土地を歩きまわり、大空の天井の下で眠る機会を持たなければならない。
 若い頃に、自然の世界と祝福された生活を楽しんだことのない者は、自然、小説、歴史、絵、それから音楽ですら、すみずみまで理解し、そのよさを味わうことはできないのである。
(1964年米国教育協会議事録より)

 ヘンリー・ターナー・ベーリーが米国で都市化が進み、人工物に覆われて生活する子どもたちの将来を案じ、大自然と接することが人としての豊かさを育むために、いかに大切かと「子どもの生まれながらの権利」を演説した記録の抜粋である。これを学生時代にYMCAのリーダー研修で教えていただき今も大事している。自分の子育てやキャンプスタッフ、保育園の園長を担当した時も繰り返し読みながら、できるだけ人間が作った自然ではなく、神様が創ったままの大自然を五感で感じる生活をしてほしいと願って歩んできた。中でも大自然への感動や感激を仲間と共に生活し共感しあうキャンプは、命を感じ共に生きる力を育む。もっと、子どもたちを自然の中へ、そしてキャンプへ。
総主事 田口 努
写真:サマーキャンプの様子より