2013年5月7日火曜日

総主事コラム「こもれび」2013年5月



「受けとめる心」

おかあさん

しゅくだいしなさい。
かんじれんしゅうしなさい。
さんすうきょうしつに
いきなさい。
さいさいばっかり、いって、
いっぺんに、
できるわけがないのに。
わたしの手は2本しかない。
かいじゅうじゃあるまいし。

(詩 小2 西原ゆうこ)

 春は、子どもも大人もとっても忙しい。新学期から1カ月が経ち5月を迎え、学校や新しい生活に慣れてきた頃だが、疲れも出る頃だ。おかあさんの慌ただしさに「かいじゅうじゃあるまいし」と悟ったようなゆとりを感じる微笑ましい親子の詩だ。
 おかあさんは、子どものためにと思って言っているが、子どもにとっては,気持ちもわかるけどうっとうしい。うちのおかあさんは「ダメダメ星人」「おこりんぼ星人」という子もいる。「さいさい」と命令語、指示語ばかりが続くと人間性を否定された気持ちになる。これは、大人も一緒だ。
 子どもにとって理解できないのは「我慢しなさい」だそうだ。そればかり言われ続けるとかえって我慢ができない子が育つ。「よく我慢ができたね」と言われれば、自分のしてきたことが我慢なんだなと認識できるようになるといわれている。我慢は教えられないが、我慢を認識させることが大切だ。我慢ができる子が強い子と思ったりするが、むしろ、きちんと弱音を吐けることが今の時代、大切ではないかと思う。それには、自分の感情がわかり、それを表現でき、それを受け止めてくれる信頼できる大人の存在があって、はじめて弱音を吐くことができる。自分の気持ちを抑え込んで頑張るのではなく、弱音を吐きながら超えていく力を支えつつ、育みたい。
(横浜YMCA総主事 田口 努)
※写真はYMCA三浦ふれあいの村「野菜クラブ」