2012年7月7日土曜日

総主事コラム「こもれび」2012年7月


「共育の場に」


教育で最も大切なものは、
算数や国語が出来る
ことではない。
友達を大切にすること
友達から大切にされることを
教えることである。
共育とは見事な表現である。


向上心は自信から生まれる。
自信は他者への信頼感が生まれる。
他者への信頼感は愛されることによって生まれる。
(佐々木正美「ことばの森」)

 50年以上も会員としてYMCAを支えて頂き、「奉仕の書」を受賞され、保育園の開設や、発達障がい児の支援プログラムでお世話になっている児童精神科医の佐々木正美先生は、いつも「人は、育てられたように、育つ」と仰る。うちの子は、何時も話を聞かないと子どもを怒る親に、親自身が子どもの声を聞いて受けとめていないのではと笑顔で応える場面を何度か見たことがある。「自分の子どもにほれぼれしなくてどうする。それができなければ親は、自己否定するしかない。自分の生き写しが我が子だと思うべきだ」とも言われた。こんな子に育って欲しいと誰しも親は願うが、親自身が、親が願う子どものような生き方をしているのかが問われている。
他の子より何か良くできることで、自信のある子に育てようとすることに対しても、「優越感を育てることになり、それは、優れた人を見ると劣等感につながる感情を育み、真の自信は育たない」と言う。一人ひとりの目標を目指して、その達成した喜びを仲間や、友達、家族みんなで喜び合う、そのような関係から人への信頼が生まれ、自信が育つ。今年の夏休みも多くの子どもたちがYMCAの活動に参加する。水泳や体操、キャンプなどYMCAの全てのプログラムもこのような関係を生み出す「共育の場」を目指している。
            (横浜YMCA総主事 田口 努)
                 *写真はYMCAのサマーキャンプ