「花のように連帯を」
今日も一つ
悲しいことがあった
今日もまた一つ
うれしいことがあった
笑ったり 泣いたり
望んだり あきらめたり
にくんだり 愛したり
・・・・・・・・
そしてこれらの一つ一つを
柔らかく包んでくれた
数え切れないほど沢山の
平凡なことがあった
(「日々草」星野 富弘)
熱帯夜が続き、歴史に残る酷暑の夏は、何処まで続くのだろう。満月の月は、もう秋と伝えてくれるが、秋刀魚たちも避暑のごとくに水温が低い遠方から戻らないらしい。国内外で異常気象が伝えられ、集中豪雨の被害も深刻だ。そして、この夏、戦後の日本を支えてきた百歳を超える方々の不在騒動が起き、長寿を喜べない社会が示された。老老介護や格差と貧困、幼児虐待も深刻だ。無縁社会の中で孤立する人々が増えている。日々草は、不思議な花だ。初夏から秋まで咲き、この夏も元気に咲き続けている。一日だけの花と言われるが、実際は咲いた花は数日間咲き、終わった花の跡からも次々と別の花が咲いて、リレー形式で永く咲き続ける。新しい花は、日没後、夜半までには咲いてしまって、 次の朝には「ずうっと前から咲いていますよ」といった顔をしている。一つ一つの花は、とても小さい。日々新たに生まれる新しい花が加わり、連帯し、次々と花の命を繋いでいく。「うれしいこと、悲しいこと、笑ったり、泣いたり、望んだり あきらめたり、にくんだり、 愛したり」と柔らかく包む日々草の花たちのように、一つの花ではなく、多くの花たちが連帯するように、人々の絆を再生する働きが重要だ。
(横浜YMCA総主事 田口 努)